虹色の騎士団
「流石に藍闇の騎士。

闇が彼を愛して、離してくれないみたいだ…。」

ニヤリ…と笑い、流れ落ちる真宵の髪を指で絡め、
愛おしむように唇を付ける。

「違う…!
真宵の闇の力は…!!」

「…安らぎの夜の闇…
とでも言いたい所か…。

…しかし所詮、闇は闇。」

カイリの手が真宵の髪を掴み、ぐいっ…と上に引っ張りあげた。

血の気のない その頬っぺに唇をつける…。

「止めろ!!真宵に触るな!!!」

「…お前は知らないだろう。

藍染の騎士の力が、元は災厄の一部だという事を……。

遠い昔…この世に初めて『舞乙女』と呼ばれる女が現れ、

あらゆる物から力を奪い、

自分を守らせる為だけに
『騎士の力』を作り上げていった。

太陽の光、燃え盛る炎、流れる水、そよぐ風、包み込む霧、空を走る稲妻…。

そして…冷たく凍る夜の月の影…。」

「月の影……」

オレは小さく呟く。

「乙女は自分の力を強める為、
月の力を無理矢理ちぎり取った。

可哀想に…。

自分の一部を奪われた月は怒り、

その怒りから災厄が産まれた。

つまり、災厄を産み出したのは…舞乙女。

舞乙女さえ居なければ、災厄が世界を滅ぼす事もなかったのに…。」

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