虹色の騎士団
「いえ…いえっ!!
自分…!気付いてました…!!
あれが…スタントである未来さんだって事…!」

そう言うと、勇武は涙をこぼし始めた。

「うっ…そ……
あんな…シーンで…
ぼくだって分かったの……?」

未来の顔と言葉に、
かなりの驚きがハッキリと表れる。

そんなに分かりにくいのか…。

まあ…、
スタントの人って本来『影武者』みたいなモンで、
役者との違いが
見てる人間に分からないようにするもんだもんな…。

「自分…本当に…
繰り返し繰り返し…見てました…から…。」

勇武は立ち上がり、拳で目を拭った。

「すいません…。
ちょっと…感極まっちゃって…。

…ありがとうございました…!!
未来さん…っ…!!」

それまで大人しく
食卓にある専用の椅子に座ってたカイリ暴れだした。

先生が下ろしてやると、
真っ直ぐに勇武の所まで
走っていく。

腕を精一杯伸ばし、
勇武の身体を抱きしめて、手で身体を撫で始める。

「あー………。

……マズいなぁ…。

……ごめん、勇武…。

そっか………。

……まさか……そこまでとは…
思ってなかったよ……。」

そう言うと未来はオレ達に、クルリ…と背中を向けた。

その耳は真っ赤になってて…。


…未来も感動したんだろうな…。

自分のトラウマでしかなかった物を、
ここまで愛してくれていた人が居てくれたんだって事に…。

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