続犯罪彼女

須磨圭吾



「最近、ほのかちゃんの様子が変なのよね」

「……あいつはいつでも変だろ」

新宿二丁目で熊谷茂が営むバー“ベアー”。
俺はいつものようにここにいた。

一年前大阪に行って以来、俺の体はリミッターが外れてしまったようだ。
昔よりも遥かに力が出るようになったし、それを止めることも出来なくなった。

自分の力すら制御出来ない俺を雇ってくれる人なんていやしない。

マスターはそんな、定職に就けない俺に仕事を恵んでくれる。その仕事は用心棒が主だ。

あまり仕事は来ないけれど、一回の収入は莫大だ。
俺は定職を探しながらも、この副業で生計を立てていた。


要するに、マスターは俺の恩人だ。
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