最後の恋の始め方
 「そんなこと・・・」


 「絶対あり得ないって、断言できる?」


 「……」


 山室さんの数々の言葉と、あの笑顔。


 社交辞令だと思い込もうとしても、どうしても……。


 「理恵は甘すぎるんだよ。男に対して。態度も、体も……」


 「和仁さん」


 真面目な話をしていたので、枕に頬を埋めて黙って聞いていたら。


 急に体を重ねられたので、驚きを隠せなかった。


 「いけないことはいけないって、はっきり言わないと。誰とでもこんなことしなきゃならなくなるよ」


 のしかかられ、両腕で押さえつけられ。


 タオルを捲り上げられ、露わになった肌にキスをされた。


 「あの男にこんなことされても、同じ感じ方をするかな?」


 右手で胸を触れ、左手は髪をかき分けながら耳元で囁く。


 「そんなこと、絶対にあり得ません……」


 「証明できるかな」


 「ん……」


 山室さんとの関係に揺れ惑う私をあざ笑うかのように。


 まるで制裁を与えるかのごとく、和仁さんは私を……キスだけで殺す。
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