最後の恋の始め方
 「えっ。それって」


 僕と目が合った時、理恵はそっと頷いた。


 「それって僕だよね」


 「そうです」


 理恵は初めて口にした。


 初めて好きになった人は、他の誰でもなくこの僕だったことを。


 「それなら……。今でも続くこの絆を、互いの最後の恋になるようにと願ってもいいかな」


 「和仁さん」


 「最後の恋に落ちてもいい?」


 「……」


 言葉のないまま、理恵はそっと僕に寄り添った。


 失くしたものの大きさに打ちひしがれ、逃れることのできない孤独を感じつつも。


 互いが寄り添うことに、確かな安らぎを覚えている。


 「これを僕の、そして理恵の最後の恋にしたい」


 そう告げた後、さらに強く理恵を腕の中抱きしめた。


 舞い降りる雪の冷たさすら忘れてしまうくらいに熱く。


 これからさらなる試練が待ちうけていようと、今は理恵のこと以外何も考えられない。


(完)
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