最後の恋の始め方
 初めての相手は僕で、それ以降佑典と付き合うまでは、男性関係はゼロだったって話していたけれど。


 もしかして理恵は、僕も知らない世界を隠していたりするのかもしれない。


 僕と出会う前にも、淡い恋の相手がいた可能性もある。


 「初恋はいつくらいかな……?」


 年甲斐もなくドキドキしながら理恵に尋ねた。


 理恵の答えが怖い。


 「秘密です」


 「何か、隠さなければならないことなの?」


 僕は明らかに動揺している。


 いつもと形勢が逆転。


 理恵は小悪魔のように僕を揺さぶる。


 年上の余裕もなく、今夜の僕は完全に理恵に翻弄されている始末……。


 「言わないと……、後悔するよ」


 唇を奪う仕草で理恵に近寄ると。


 「分かりました、ならば白状します」


 このような場所でのキスを避けながら、理恵は答えた。


 「高校生の頃」


 高校生の頃?


 ちょっと遅いほうかも。


 学校に憧れる素敵な先輩でもいたのかな?


 それとも同じクラスに、理恵の気を惹いた男とか……。


 ところが理恵の答えは、


 「バイト先のコンビニに訪れた、年上の人です」
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