最後の恋の始め方
 午後からは依然として写真の整理と、自分で撮影した画像のタイトル付けや説明文の追加を行なった。


 時折メールのチェック。


 電話も時々かかってくるけれど、大部分がセールス電話。


 本当に重要な用件は、直接和仁さんの携帯電話に連絡が行く。


 夕方、電話を留守番モードにして、暖房もタイマー設定して、事務所を後にする。


 施錠して住居のほうへ移動し、夕食の準備。


 今晩は二人で鍋をすることになっている。


 和仁さんは夕方六時くらいには帰宅するとのことだったので、その時間帯に合わせて買い物を済ませ、あとは火をつけるだけに準備をしておく。


 ところが。


 六時を回っても、和仁さんが帰ってこない。


 打ち合わせが長引いたり、交通渋滞なども考えられるので、しばらく待ってみた。


 ところが六時半になっても帰宅せず。


 気になったので電話をかけてみたものの、出ない。


 仕方ないので黙って待っているうちに、時計は七時を回ってしまった。


 火の付けられない鍋と、具のセットがむなしくテーブルの上に並べられていた。


 暇なのでテレビを付けようと立ち上がった。


 するとその時、家の電話が。


 「もしもし」


 和仁さんの親戚筋からの電話だったら、関係を説明しにくくて困るのだけど、ただの留守番の者だと言い訳するしかない。


 とりあえず出たところ、


 「こちら、北海道警察ですが」


 警察!?
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