【完】1日遅れのクリスマス



「ん…こうき…?」



「ん?…どした?」



うすらぼんやりと、俺を見つめる彼女。



「……んーん、なんでもない……」



「なんだ…、それ」



頬を火照らせながら小さく笑う彼女に俺も笑って返す。



辛い、よな……?


無理して笑わなくてもいいんだぜ?



なんて思いながら、ふっくらとした艶めく唇にキスをおとせば。




「こうき……ダメだよ……。風邪、移っちゃうよ……?」



「べつに、構わねーよ」



そう言って、もう一度キスを落とす。


奈南は赤くなってた顔をより赤らめて、




「ねえ……?」



「…………ん?」



「ギュッ……って、して……?」



そう言って、毛布の中から手を差し出した。



小さくて、柔らかそうで。


俺の服の裾を弱々しく握る手。





「手……握ってて、欲しい……」



熱からなのか、奈南の目が潤んでいて。





――…ったく。


そんな目で、そんな可愛いこと言うなよ。



熱のせいで、普段より色気を帯びた声に、甘く感じる雰囲気。






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