プロポーズ
彼女へ逢いに

夏の終わり

「さぶっ。」

午後6時。
家から出ると冷たい風が身にしみた。
まだ9月の始めだっていうのに、外はもう薄暗かった。

僕は部屋へ戻るとクローゼットの中から適当にグレーのカーディガンを取り羽織った。

「どこにいくの?」

靴を履いていると後ろから母さんが僕に言った。
僕は振り向きもせず

「どこって、いつもんとこ。今日は帰らないから。」

と言って玄関を開けた。


< 1 / 93 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop