真逆な双子と恋愛三角関係




それもまた言われたのは初めてで
もっともっとドキドキした。



ポンポンとされた頭も熱くて
本当に茹で上がりそう。




「か…傘あるもん…」



そう言ってカバンから取り出した折り畳み傘を見せると彼は驚いていた。



「なんだ、あるんだ。
じゃ、帰ろ?」


「へっ…?」


「電車通学だろ?
一緒に帰ろうよ。」


え…

なにそれっ!


一緒に帰るって…

男女が一緒に帰るってまるで恋人みたいじゃん…


名前も知らないこんな奴と一緒に帰るのっ!?



「どうすんの?
帰る?帰らない?」



どうしよう…

帰りたい…なんて思っちゃう…



でもちょっと抵抗心もあって…



「置いてくぞー」


そう言われて慌てて帰るって言おうとしたとき、背後からリコの声が聞こえてきた。



「ドーナツかぁ…いいね!行こ!」


友達と話す楽しそうな声。



ダメだ…リコに私とこいつが一緒に帰ってるところを見られたらきっと動き出す。


帰ると言いかけて発した「か」の文字はだんだん情けなく消えていく。


一緒に帰っちゃダメだ…



「帰れないっ…!」


私はあいつの顔も見ることができず、それだけ言って全力疾走をする。



校門を抜けて駅までずっと走る。


どれだけ辛くても
キツくても

足を止めずにずっと走った。









< 14 / 73 >

この作品をシェア

pagetop