君を抱きしめたい
横顔を堂々とみる事ができない僕はフロントミラーに映る少し真剣な彼女の瞳を見ていた。
そういえばホワイトデー。
何もあげれてないや。
「キヨ、最近なんかあった?」
「えっ?…別に」
奈々の事を思い出しながら僕は努めて無表情を作り上げる。
「それならいいけど最近、早い時間に部屋の電気が消えてるなーって思ったの」
そんな事…
ホワイトデーを渡せなくて姉ちゃんを避けてたなんて言えるわけがなく
僕は「何?心配してくれたの?」なんて冗談交じりに返したら
彼女は何も言わずにただ車を走らせるだけだった。
なんか怒ってるのかな?
聞くのが恐い。