Sweet Lover
「じゃ、梨音ちゃん。
 引き続き、俺のマーサをよろしく頼むよ」

「……あなたのためじゃありませんからっ」

梨音はぷいと顔を背ける。

……いったい、何があったって言うのかしら。

響哉さんは、第二保健室のすぐ隣にあるあまり誰も使わない廊下を上がって、戸惑いも無く理事室へと向かう。

手を繋いでも差し支えないくらい、人の通らない場所だ。

特に、生徒はこの通路を通ることなんてないんじゃないかしら。
私だって、こんなところに廊下があるなんて知らなかったくらいだし。


……そもそも、『第二保健室』なんてあったっけ……
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