Sweet Lover
どうして、そんな悲しそうな顔で自分が傷つくようなことを言うのかしら。

私は首を横に振る。

「私には、パパも、お父さんも居るから。
 もう、父親の座は埋まってるの。
 だから、響哉さんの場所はそこじゃないわ」

一生懸命、テンションあげて早口で喋らないと泣いちゃいそう。
鼻の奥がツンとする。

それから、精いっぱい背伸びして、屈んでくれた響哉さんの耳元に唇を寄せる。


「だって、パパじゃキスできないもの」

私の言葉に、響哉さんが破顔する。
その笑顔が、少年みたいに可愛かったから。

彼がものすごく年上だってことも忘れて、私は思わず響哉さんの頬に唇を押し当てた。
< 261 / 746 >

この作品をシェア

pagetop