Sweet Lover
「いいじゃんかっ。
 一人で待つっつーのはこう、心細いんだよ。
 ほぉんっと、男っつーのはただの種馬でしかねぇーんだなーなんて噛み締めながら、妻の出産シーンを想像し続ける恐怖。
 分かるか?」

ああ、今目の前で見てるんで、分かってるつもり。

真一は黙っている俺の手を掴む。
予想以上に冷たく、震えていたのが印象的だった。

「分かった、お前に名づけ親の権利をやるっ」

「……あのなぁ、そういうのを盗人たけだけしいっていうんだよ、覚えとけっ」

俺は真一の頭にデコピンを食らわせた。
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