Sweet Lover
後ろ頭にキスが落とされるのを感じて、思わず瞳を閉じた。
響哉さんは私が握り締めていたメモをとって、それに目を通す。

「一応、春花もそこまで調べたってわけだ」

小さな声で呟くと、おいで、と私を抱き上げる。

「時間無いんでしょう?
 ご飯、食べないと」

身体が宙に浮いた私は、近づいた顔にドキドキしながら、そう言った。

陶器を思わせる肌、艶のある紅い唇。
宝石のような瞳に、針金でも入れたかのように筋の通った鼻筋。


何度見ても、どこで見ても。
見蕩れてしまうのは、響哉さんがその顔で、極上の笑みを浮かべてくれるせいかもしれない。

「ご飯を食べる時間なんてなくなってもいいけど、キスする時間がなくなるのは困る」

言うや否や、蕩けるようなキスが降って来た。
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