Sweet Lover
「好きなものを選ぶといい」

私にかけてくる声は、さっきまでのそれとまるで別人のものかのように、とても甘いものだった。

「で、でも。
 こんなに高い物、私――」

量販店に売ってある家具とライトで構わないのに。

「お金のある人が使わなきゃ、日本はますます不景気になるばかりだ」

……え?

それとこれとはまた別の話のような気がするんですが……。

響哉さんは
「仕方ないな、マーサ。今回は特別に手伝ってあげる」
と、言って笑うと、店員さんのおススメの中から更に3つにまで絞ってくれた。

「この中に好きなものはある? あったら選んで。なければ、どこが気に入らないか言ってごらん」

響哉さんはそうやって、短時間の間にさくさくと私の好みを聞きだして、一番お気に入りのものを見つけ出してくれた。


その手際の良さはきっと、店員さん以上なのだと思う。
だって、やり手の店員さんですら感心顔で響哉さんのことを見ていたんだもの。
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