Sweet Lover
ちらりとディスプレイを見た響哉さんは、諦めたように肩を竦める。

「ごめん、マーサ。仕事の電話だ。
少し待っていて」

ぽん、と頭を叩くと電話に出る。

「よっぽど急ぎの用なんだろうな」

電話に出た響哉さんの声は、不機嫌を固めたように低く冷たいものだった。

「……ふぅん。ちょっと待って」

響哉さんはそう言いながら、店員さんに頼んで店の奥へと足を進めていった。

一人残された私のところに、すぐに店員さんが戻ってくる。

「須藤様はいつもお忙しそうですね。いつアメリカから帰ってこられたんですか?」

「あ……、っと」

知らない、ともいえず曖昧な笑顔を浮かべる。
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