Sweet Lover
「――そうだけど」

梨音にしては珍しく、弱々しい声だ。

「それに、自分だって彼氏とラブラブなのに、人の恋路を邪魔しちゃいけないと思うよ」

しれっと、佐伯先生が言葉を挟む。

――彼氏?

思わず、先生と梨音を見比べる。
梨音の頬には明らかに朱がさしていた。

「――どうして知ってるんですか?」

「生徒のことには気を配ってるの。
 これでもね」

一応、『先生』ですから、と。
先生は片目をつぶって見せた。

「梨音、彼氏出来たんだ」

前の彼氏とクリスマス直前に別れたのは知ってたけど。
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