LOVE SICK
『支店長いい男じゃん。川井さん支店長の事好きだったんじゃないんですかぁ?』


石野さんの語尾を伸ばして聞いて来る聞き方にやっぱり少し弄っとしたけれど、彼女も私を許そうと必死で、それでもやっぱり私の存在が面白くも無くて。
惹かれていた人の結婚を突然聞かされて。

自分ではどうしようも出来ない感情を持て余しているのだろうと思えば大らかになれた。


『まぁ……バカだったのよ。私も』


そうしてなんとなく認めてしまえば、酷く驚かれた。


『川井さんってそういう話しない人だと思ってた……。いつもなんかお高くとまっててさ』


なんて嫌味混じりに感心されたから、


『だから石野さんは私が嫌なんでしょ? 歩み寄ってるのよ。これでも』


私も軽い嫌味を交えて応戦してみた。


『……ごめんなさい。困らせてやりたいって、思ってた……』


素直にそう言った彼女は少し可愛いと思えて。
それから二人で、電話越しに笑い合った。


買い物に出かけていた祐さんが戻ってきたのはそんなタイミングで、笑いながら電話をする私に安心したような笑顔を見せてくれた。
それから、仕事の電話だと察した彼はキッチンにこもりその後豪勢な夕食をごちそうしてくれた。


こんな風に、彼女と落ち着いて話が出来たのも、斎木さんに心から謝罪をする事が出来たのも、間違いなく、私を抱き締めてくれる人がいたからだ。

無条件で許してくれる、彼がいたからだ……
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