LOVE SICK
ここで待っていたらさすがに他の住人に怪しまれるだろう。
そう思ってはすぐにエントランスホールを出た。

エントランスの前には広場がある。
遊具がある様な公園ではなく、タイルが敷き詰められ花や木が植えられているアプローチの演出の為の前庭だ。
ベンチがいくつか置いてあるがそこで休んでいる人を見たことは殆どない。

その中から、私はエントランスが見えるベンチを選び腰かけた。

多分、そんなには遅くならない筈だ。
暗くなる前には帰ってくるだろう。

いつかの様に、自分の世界に入り込んで気が付かないなんてことがない様に、声をかけられるのではなく私が見つけられる様に、しっかりと顔をあげて前を見た。

傾き始めた太陽は昼間よりも眩しくて、それでも下がった気温は心地いい。
頬を爽やかな風が優しく撫でた。


(……ストーカーだと思われないかな……)


エントランスからは離れたとはいえ、住人に通報されないかとか……少し心配にもなったけれど、彼だって私に会う為に結構な無茶をした。
多分、許されるだろう。

今日の私の勘は、多分当たる。
そんな予感が確かにしていた。
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