LOVE SICK
「……お疲れ様です」

「おう。川井、遅くなったし車乗ってくか?」


軽い口調でとんでもない事を言い出した男を私は睨みつける。


「……支店長、結構です」

「なんだよ。さっき言い過ぎたかと思ってたのに」

「こんな時間いつもの事です。お構いなく」

「可愛くねーな……」


又不機嫌な顔を覗かせたこの男は、本当に非常識だ。
上司であり、仕事は本当に頼りになる。

けれど、私はこの人が好きじゃない。
感情のまま、本能のまま生きるこの人が……嫌いだ。


「じゃあ、お疲れ様でした」


まだ残る、他の同僚達にも挨拶をして帰ろうとすれば、携帯が小刻みに震えた。


「あ……」


なんてタイミングだろう……



―――――――――――
from:柏原 祐
title:no title

仕事が今終わりました。
遅くなって悪かった。
又今度にする?

柏原 祐
―――――――――――


どうしよう……明日は土曜日だし、早くポケットの中の諭吉さんを解消したいし。
それに何より……

飲みに行きたい……
ムカつく上司に叱られたこの苛々を、解消したい……

どうしよう……
いいのかな……
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