LOVE SICK
「私、祐さんに名前呼ばれるの、好きみたいです」

「……るう?」


少し目を丸くして、それから私の名前を呼ぶのは妖艶さを増した彼の甘い声。


「もう、ズルい……」


その胸に顔を埋める私にクツクツと笑い声だけが落ちて来た。


「るう。他の男は辞めておけよ?好きな人が出来たらすぐ言いなさい」

「祐さんも。付き合いたい女性がいたら、言って下さい。重い女になる気はありません」


頭を撫でながらあやす様に言う声に、うっとりと耳を傾けながら言い返す。


「るうは、なんだか危なっかしいな……」


この人の、声がとんでもなく好きだと思う。
本当に、極上の音楽に身を委ねているかの様に神経を麻痺させられる。


「そうですか? ……職場では怖い女扱いですよ?」

「いつか、張り詰めてるものが切れそうだ……」

「大丈夫ですよ?」


少し心配そうな声に変わった彼に、又優しく名前を呼んで欲しくて。
私は微笑んで見せた。
< 65 / 233 >

この作品をシェア

pagetop