わたしの想いがとどくように
美華子は、放課後に暁に呼ばれた。幸奈と2人で帰ろうとしていた時だった。
「美華子、話あるんだ。一緒に帰ろうぜ。今日だけ、な?いいか?幸奈」
暁は真面目な顔をしていた。
「…いいけど」
幸奈はそう言うと、先に教室から出ていった。気を使ったんだろう。暁は少し微笑んでありがとうと言った。
「弥生のバイト先な」
暁はそう言うと優しく笑った。美華子は顔を輝かせた。気に入っていたのだ。
「歩きな」
「うん!」
外に出ると、暁は美華子と歩幅を合わせて歩いていた。ゆっくり歩くと、繁華街は色付いて、綺麗だった。美華子はどう見えているんだろう。
「この繁華街って綺麗だね」
美華子から話しかけてきた。
「そうだな、結構植物があるしな」
「ね!あそこに向日葵!」
美華子は指をさした。
「あ、結構立派だな」
暁はそう言う。美華子は、暁は話しやすくて好きだった。いつも自分の世話をやいてくれた。どんくさいと一蹴しながらも、結局手を出してくれるのは暁だった。一生そんな関係をやっていけると思っている。
「向日葵って弥生みたいだよね」
「なんで?」
「いつも、太陽を向いてる。笑顔になってるみたい」
弥生が向日葵、確かにあっているかもしれない。向日葵みたいな明るいイメージが、弥生には似合う。だが、弥生の表情の変化は1つの華では表現出来ない。
「俺、弥生にあう華は1つじゃ足りないと思うな」
「何故?」
「表情の豊かさは、1つの華だと表せないよ」
「あーそっか」
美華子は納得していた。暁は、可愛いと率直に思った。昔から、美華子の世話は、自分がしていた。だから、美華子のことしか見たことがなかった。ただ好きだった。でも、美華子は幸奈にしか興味がなかった。告白する勇気なんて持ち合わせてなかった自分がいけない。そうおもいつつ、暁は苦笑いした。