水泳のお時間
「そ、それじゃ…、わ、わたしを保健室まで運んで来てくれたのって…」

「もちろん。俺だよ」

「!!」


まるで当たり前のようにサラリと答えられてしまい、わたしの顔は一気に熱くなった。


同時に、わたしは今ごろ自分の着ている格好に気づいてしまう。


…何か違和感を感じると思っていたら、そうだ。

わたし、あれから水着を着たままなんだ…。

ということは、やっぱり


わたしは水着姿のまま瀬戸くんに抱きかかえられて

保健室まで運んでもらったという事だよね…


「この格好のまま運ぶのは、さすがにどうかと思ったけど、それよりも桐谷の体が最優先だったし、それに男の俺が着替えさせるわけにもいかなかったから」

「そ、そうだよね…」


それもそうだ。

瀬戸くんの言っていることはもっともだった。


男である瀬戸くんに着替えさせてもらうなんて、そっちの方がよっぽど恥ずかしい。

もしわたしが逆の立場だったら、きっと瀬戸くんと同じ事をしていたと思うし。

だけど…


「お、重かったですよね…?」

「はは、そんな事気にしてたの?大丈夫。軽かったよ」

「………」


そう言って瀬戸くんは笑ってくれたけれど、わたしの気持ちは晴れなかった。

そんな気、遣わなくていいのに。よけい惨めな気持ちになる。


…気がつくと、瀬戸くんは既に制服に着替えていて。

わたしが気を失っている間に、あの瀬戸くんに抱きかかえられて、保健室まで運ばれてしまったのだと思うと

恥ずかしくて、申し訳なくて


わたしはとっさに布団で自分の体を隠してしまうと、うつむいた。
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