甘い言葉で


なだらかな下り坂を降りていくと、小さなロッジが見える。
男女別に5台ずつシャワーブースが設置されている。


あたしたちのグループ以外にも利用者が居るからルールを守って動かないと『待ち時間』という無駄な時間を過ごすよね。


3人でそれぞれのドアの後ろに並ぶ列に次ぐ。
まぁ、2~3人待てばあたしたちの番が回ってきそうだね。


「あ、あゆみちゃんも今からお風呂なの?」


声を掛けてきたのは、あたしの並ぶシャワーブースから出てきたしほチャンとさゆりチャンだった。


「うん。そうだよ。二人は先に来ていたんだね。髪の毛、チャンと乾かしておくんだよ」


「はーい。またあとでね~」


「肝試し、楽しみだね~」


ニコニコ笑顔の二人を見送ったら違うブースからお姉さま方が出てきた。
ユズくんやタローちゃんさんのことを狙っているのでしょう。お風呂上がりなのにオシャレですね。


夏とはいえ、もうすぐ夜ですけど?
肝試しありますけど?
虫刺され対策、考えてます?
肝試しの事、忘れてます?


目を合わすと睨まれそうなので、あたしは出来るだけ視線を合わさず、俯いて順番を待つ。
何でここまで睨まれるのか、さっぱり解らない......ことも、ない?
いや、わかんない。目立つほどイケメン達と話してないもん。


『触らぬ神に祟りなし』って言葉もあるのだから、お姉さまの機嫌が何故悪いかを考える前に、
『お姉さまの視界に入らなければ良いのでは?』
なんて、お気楽な考えで避けているのはあたし。
縮こまっているのに、背も高いあたしには意味もなく............嫌でも目につく。


「あら?こっちでシャワー浴びるの?向こうじゃなかったのね。」


おっと、早速ジャブ来ました?
確かに、自分はお姉さま方より背は高いですよ?
はぁ.........身長だけで男扱いですか?


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