甘い言葉で
番外編 1



あゆみのお正月――――




『明けましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いします。』


あたしのうちのお正月は『お屠蘇』をします。
31日の夜、お母さんが本みりんにお屠蘇の粉を入れて下準備。


お屠蘇の順番は『歳の若いものから』なので、いつも一番したの弟から始まり、妹、あたし、お母さん、お父さんの順です。
おじさん達がやって来ると、また順番が違うんだけどね。


飲んでもあまり美味しくないから、妹は飲まずに口をつけるだけ。
弟は、なぜか気に入っているから毎年飲み干してる。



お節は朝早くお母さんが準備して.........と言っても、買い出ししたものを重箱に積めるだけ......なんだけどね。
まぁ、31日まで仕事してるから『準備する暇がない』ってよくいってる。
煮物は作ってくれるけどね。


お節を並べて食べはじめてすぐ、朝早くから始まっている正月番組を観ながらみんなで大笑い。
お笑い芸人さんがたくさんテレビに出てるからどのチャンネルも楽しいよね。


「ねぇ、あゆみは今年の初詣どうするの?」


そんな楽しいテレビの時間に邪魔をして来たのはお母さんで。
あたしの予定を聞きたかったらしい。


「ん?あたし?」


「そう、冬休みが終わったらすぐに学校の試験でしょ?そうしたらすぐに入試が待ってるし......念入りにお願いしないと。お父さんに車だしてもらおうか?」


「あ~合格祈願ね。今日の夕方、皆で近所の神社にお参りに行く約束してるよ。大きい神宮のところに行っても混雑してるからやだもん」


「そう?母さんたちは今日はゆっくりして明日いつものところに行くけど一緒に行くなら早起きしてね」


「はーい。了解です」


あたしとユズくんのことは一応お母さんには連絡済み。受験が終わるまでは遠出はダメだと念を押されたけどね。


今日もこれからお参りにいく神社はユズくんと一緒に行くんだよね。
冬休み入る前にデートしたときに約束したんだ。


自転車で行ける距離だから二人でデート気分でお参りする予定。
うふ。楽しみ~!!


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