WiSΗ
「梶山は常学だろ?」
「うん。」
鈴村は
そう言いながら
あたしのファイルを取る。
「返してぇ。」
「いやだー。」
あたしは
ファイルを
取り返そうと
手を伸ばした。
「俺、常学行きたいけど…」
ファイルに
手が届いたとき。
「ダメだった…。」
あたしの手は
鈴村の手に
おおわれいて
あたしが
鈴村の親指をつかむ形に
なっていた。
「常学きてよ…」
あたしは
鈴村の親指を
握る。
「行きたいけど…」
そうだよね。
私立で
片道1時間かかるのに
わざわざいくなんてさ
許しがでる訳ないもん。
「あたし高校生活楽しくないし…」
「え?」
あたしは
我に返り
言ったことに後悔する。
「と、友達いないし…」
「ああ。そうゆうことか。」
本当は
違うよ。
だけどね。
「あたし嫌だ。」
鈴村と
未だに繋がっている手を
ぶらぶらする。
「うん。」
鈴村は
あたしがぶらぶらするのに
あわせてぶらぶらさせた。