愛してると囁いて【短編】
「しかもなんか今日ね…変な感じがするの」


「…はぁ?」


「なんかね…まわりが…オーラがピンクでね…得に女の子が目をぎらつかせてるような気が…」


「…………それって…」





普通……バレンタインデーだからじゃねーの…?







「美代ちゃんもね…そんな感じのオーラ放ってたから今日皆変だなぁって思って…」


「おまえ…そりゃ今日は特別な日だからだろ?」



俺がよっこらせ、と立ち上がると同時に歌音は目を丸くした。



「え?!今日美代ちゃん達記念日だったの?!」


「…はぁ?」


「そうだったんだ…。じゃあ皆今日が記念日なのかな?偶然って恐ろしいねぇ〜」



オーラの正体がわかってスッキリしたのか清々しい笑顔で帰り道を歩き始める歌音。

俺はそれに自然に着いて行った。


偶然にも帰り道が同じらしい。








てか、こいつ意味わかんねぇ。

普通にバレンタインデーだからだろ?



…………………まさかだと思うが、もしや…


もしや………



もしやもしやもしや…
















「……なぁ歌音」


「んー?」



俺が暗い声で話しかけると、いつものように呑気な返事が帰って来た。


そのわざとでない上目使いに、俺は胸が痛むのを感じた。



「いや、まさかとは思うが…」


「うんうん。まさかが何?」



キョトンとした歌音に、俺は意を決して言った。




























「……おまえ、今日が何の日か知らねぇの…?」


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