隣の女
「遅くなって申し訳
 ありませんねぇ。
 これは、うちの社員で
 山根といいます。」

「は、はじめまして。
 山根と申します。
 どうぞよろしくお願い
 いたします。」

「はじめまして」

そういうとハデージョは
自分の名詞を差し出した。

「料理研究家・
 フードコンサルタント
             速水翔子」

‥とある。

住所は‥

「あっ!」

そう、あのおんぼろアパート
のある付近だ。

朝子は思わず‥

「あら?速水さんの事務所‥
 私の自宅と同じ方面ですね。」

そう言った。

すると、朝子には一瞬動揺した
ようにも見えなくもなかったのだが

ハデージョは、にっこり微笑んで

「事務所なんて大したものでは
 ないんです。
 お友達と共有していますの。」

すると、社長が

「いやぁ‥料理研究家さんんだなんて、
 こんなお綺麗な女性がお作りになる料理は

 どんな物なんでしょうなぁ。
 さぞ、洒落た洋風の‥
 私なんぞが見たこともないような

 なんたら風なんたら煮込みみたいな
 豪勢なやつなんでしょう‥あっはっは。」

「そ~んな、とんでもない。
 肉じゃがですとかキンピラごぼう
 ですとか、
 ごくごく普通の家庭料理ですよ。」



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