隣の女

表の顔

そんな、あまり意味のない世間話を上の空で聞きながら、朝子はせっかくなので思い切り高級鮨を堪能していた。もちろん、そんな素振りは見せなかったが‥そうこうして一時間ほどが過ぎた。

「‥で、速水さんが我々の
 会社に興味をお持ちの
 理由は一体‥?」

「あ、あぁ。いえ、先日社長を
 ご紹介頂いた片桐さんは

 私が一番最初に習った
 プロの料理人なんです。

 それ以来ずーっとお付き合い
 させて頂いていまして。」

「なるほどぉ。料理を習って‥」

「えぇ。お料理に関する仕事を
 したくて色々勉強をさせて
 頂いたんです。」

「それは‥いつ頃ですか?」

「五年ほど前のことです。」

「へぇ‥。」

「お陰さまで、私も今では
 恥ずかしながら夢だった

 『料理』の仕事を
 させて頂いてるわけです。」

 


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