隣の女
「じゃあ、それ以前にはどんなお仕事を?」

「えっ?」

「料理のお仕事の前には何を?」

「あ、あぁ、ごくごく普通のOLです。」

朝子は、その言葉に飛びついた。

「そうなんですかぁ?
 でも、きっと大きな会社でしょ?」

ちょっと寂しげに遠くを
見つめながらハデージョは

「とんでもないです。
 小さなデザイン事務所でした。」

「じゃあ、デザイン関係のお仕事を?」

「え、えぇ、まぁ。」

「デザインのお仕事なんて
 ステキじゃないですか?

 それなのに‥どうして、
 お料理を?‥あ、すみません。」

「いぇ、向いてなかったんです。
 センスもないし‥」

「どうしてぇ?
 そんなにおしゃれなのに!」

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