隣の女

ある土曜の午後

ある土曜の午後、朝子は自宅近くの商店街で買い物をしていた。
そこは、下町の雰囲気が残る都心に比べれば物価の安い住み易い地域である。

『超安売り!』で結構有名な中型の食品スーパーで、今日は食パンの特売だと知って早起きをしてやってきた。

いつもは150円の食パン一斤がなんと80円!!!!!!
ただし、お一人様二斤まで!

これを買って冷凍しておけば二週間分の朝食が160円で済むのである。

売り場には人が結構集まっていた。
朝子も急いで近づいて手を伸ばした。

その時である。
ドスン!‥と女性にぶつかった。

色あせたTシャツによれよれのジーンズを穿いた女が隣にいた。

何よ!‥と、顔をのぞいてぎょっとした。

そう、紛れもない‥あの、『ハデージョ』だ。

朝子は、目のやり場に困り二斤のパンを急いで手にすると他には目もくれずレジへ急いだ。

お店を出ると、思わず噴出した。
「あのハデージョがねぇ‥。」

思いもかけないことに、最初は度肝を抜かれた朝子だった。
でも、ちょっと「ハデージョ」に親近感を抱いたのだった。

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