愛してるの代わりに
「未来ちゃーん、私どうすればいい?」
「どうすればって。返事聞かせろって宮脇に連絡すりゃいいだけの話じゃん」
「昨日の私の勢いがあればできたかも知れないけど、今日の私には出来ないよぉっ!」
「アンタの勇気は1日限定かっ! そもそもケジメつけるために告白したんでしょ? だったら返事まで聞かなきゃ何の意味もないじゃん」
「未来ちゃんみたいな美人で何でもできる子なら自信持って聞けるけど、私には無理だよ」
「何言ってんの!」
ドン。
未来の持っていたグラスがテーブルの上で盛大な音を立てた。
美人が怒ると迫力が普通の人より倍増だ。
「雛子はいっつも私のこと羨むけど、私からすれば雛子の方が魅力的な女の子だよ」
「未来ちゃん……」
「誰にでも優しくていつも笑顔で。すごいしっかり者なのに時々おっちょこちょいな所とか。そういうギャップが雛子の魅力だと私は思うし、そういう雛子が私は好き。その先輩だって、きっと雛子のいいところをたくさん知ってたから告白してきたんだと思うよ」
「そう、なのかな……?」
「そうだよー。問題は雛子がいくらイイ男に告られたところで宮脇以外の男を見てなかったってことだけど。で、好きって自覚したのはいつ頃よ? まあアンタのことだからユリちゃんと付き合いだした頃まで無自覚だったとは思うけどー」
あまりに的確な指摘に動揺して、飲んでいたお酒が口からこぼれそうになるのを必死で飲み込む。
「ゴ、ゴホ、み、未来ちゃん、どどどど」
「どうしてそれをって? んなもん雛子見てたら丸わかりよぉ。だってわかりやすいもん」
「そんなにわかりやすかった?」
「少なくとも私にはね。まあ、他の子は気付いてなかったっぽいけど」
とりあえず、他の人に気付かれていかなったことに安心する。
14年間も気持ちがダダ漏れしていたなんて考えたら、恥ずかしくてたまらない。
「いつ相談してくれるかなーって待ってたのに、雛子はなーんにも言ってくれなったし」
「ごめん」
「別に謝ることじゃないよ。雛子の事だから誰にも言ったことないんでしょ?」
無言でうなずく雛子を見て、未来はやっぱり、と微笑む。