愛してるの代わりに



慎吾が東京に帰ったあの日。

仕事を終えたのであろう慎吾から連絡があった時に、最初に決めたことがそれだった。

夜、雛子のメールから15分以内に慎吾から連絡がなければ、その日は連絡は取らない。

睡眠時間をたっぷり摂らないと疲れの取れない雛子を知り尽くした慎吾からの優しさの詰まった提案に、雛子が頷かないはずがなかったのだ。

代わりに雛子が休日の日は、慎吾が好きな時間に雛子へ連絡をしてもいいことにした。

あまり休日に予定を入れない雛子は、家の中で携帯電話を握りしめて移動している為、いつも家族にからかわれている。




「ふーん。売れっ子とのお付き合いも大変だね」

「そうでもないよ。私にとっては毎日慎くんに連絡出来ることだけでもキセキだし、とても幸せだから」

「うわ、その顔見せてやりたいわ~。っていうか今写真撮って送って自慢したいっ!」

「何言ってんのよ未来ちゃん」

まるで学生に戻ったかのようにテンション高く喋るふたりの元へ、ランチセットが運ばれてきた。

未来の休憩時間も限られている為、食事中は会話を中断。

いつもより早めにランチを食べ終え、食後のデザートが運ばれたところで、会話が再開された。


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