同級生
僕は向こうで客のおやじと2人でいる彼女の方ばかりを気にして、そんなことは目に入っていなかった。
「あ…」
彼女は客のおやじと席を立ち、2人で店を出て行った。
「どおしたのぉ?」
「え?…そろそろ帰る」
代金を払い、僕も店を出た。
「ありがとう、また来てね」
彼女は…客のおやじを見送ってただけだった。
僕は内心、妙な心配をしていた…。
「あれ、もう帰るの?」
「うん…」
「そう。じゃあね!」
彼女は笑って手を振って、あっさりと僕に別れを告げ、店へ戻っていった。
再会を祝して…とか言ってけど、結局彼女とは飲まなかったし、何も語り合ったりもしなかった。
…ただ店の売り上げに貢献したかったから僕に声をかけてきたのか。
おかげで財布の中身は…
「うそだろぉ…?」
325円しか残っていなかった。
バスも電車ももうない…タクシーなんて以ての外だ。
仕方なく歩いて帰ろうと200mくらい進んだけれど、酔ってフラフラしていて…キツかった。
僕は再び店へ入った。