追憶のエデン
「この世界は僕達が住んでるイスペラディティアを主体国とした他の5つの連合国でこの広い世界を統治してる。そして堕天使に始まり悪魔や魔族、魔物といった闇の住人が生活してるんだよ。ただ魔物と他種族の違いは文明と知能の有無…。知能がない分ただ食欲と破壊欲しか持ち合わせていないから、何の力も持たないイヴはすぐに殺されちゃうね。」


ふふっとルキフェルは爽やかに笑うけど何一つ愉快な話ではない。
寧ろ口元が引き攣る様なお話だ。


「どうしたの?
結界の外での話で、中なら安全だったでしょ?」


不思議そうな視線をちらりとこちらに向けて聞いてくるけど、要は逃げれるもんなら逃げてみれば?って事だろう。



「さっ、この森を抜ければ魔界最大都市イスペラディティアの中心街なんだけど……魔界だとか人間界だとか抜きにしてパーっと楽しくデートしよ?」


ね?そう言って首を傾け嬉しそうに笑うルキフェルは、堕天使とか人外だとかそんな事抜きにして、普通の男の人みたいだと思った。


(せっかくだから楽しまないと損だよね!気分転換も兼ねて今日は思いっきり遊ぶのも悪くないかも。)


「ねぇ、ルキフェル…。
あたし少しお腹空いちゃった。軽く何か食べてから遊びませんか?」


今迄張り詰めていた緊張の糸が緩み、少し吹っ切れると強ばり固まっていた顔に笑顔を作り出した。
そしてそれを見たルキフェルの表情も更に柔らかくなり、少し赤みがかかった様に見えた。



「仰せのままに、お姫様。」


クスリと笑うと車は速度を上げ街へ向かった。
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