追憶のエデン
ただそれともう一つ理解した事は、あたしの精神を要するに乗っ取っているこの人は人間じゃないって事。そしてこの状況は人間にとって良くない事は間違いない。だとすると、やるべき事なんて1つしかないって事。



「あたしがイヴかどうかは兎も角、ルキフェルさん。
貴方のお話が真実だとしたら…
――あたしの中からさっさと出てって下さい。」


あくまでも冷静かつ、少しの威嚇の意味を込めてルキフェルを睨み付けた。


「ふーん…まぁいいや。
それじゃぁ、今夜はこれで帰るよ。別にすぐにまた会えるし。
ただ……


また君に出逢えて嬉しかった。
愛してるよ、イヴ。
おやすみ。」


しかし彼はあたしの言葉に大して気にする事なく、純粋に嬉しそうに、愛しそうに微笑んで消えた。




すると辺りは真っ暗な闇に染まり、いつの間にかいつも通り眠り、気付けば聞きなれた目覚ましのアラームが誰もいない部屋に鳴り響き、あたしを現実へと引き戻す。



――あれは夢なんかじゃない。


何故かそんな気がする。


鮮明に夢の内容を覚えている。



「何よ……。あんな顔なんてしちゃって。バカ……。」



早く準備して、今日も学校に行かなきゃいけないのに、よく分からない感情が心を切なくする。
カーテンから差し込む朝日をかんじながら、暫く膝に顔を埋め、ルキフェルを恨んだ。
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