オヤスミナサイ~愛と死を見つめて~
私がため息交じりに言うと、鈴は、

「だって、もう大輔のことは何とも思ってないもん」

と、軽くあしらった。

「梨聖のところは長いわね」

帆乃香が矛先を私に向けてくる。

「そうね。想太とは大学1年の春からつきあってるからね」

想太とは、私の彼氏の名前。

1年の4月、同じクラスになって、席も隣で、なんとなくお友だちから彼氏に発展したという感じだ。

「だけど、もうなあなあね。最近会ってないし」

「えー。飽きられた?」

「お互いそうかも。会わなくてもいいって感じ。最近じゃ、想太のことあんまり思わなくなったな」

想太と会わなくなってどれくらい経つだろう……一ヶ月以上か。

昔は1日に何回もやりとりしていたメールも、今じゃすっかり音沙汰なし。

同じクラスだったけれど、一般教養の講義も1年で終了したから、講義で彼と会うこともなくなった。
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