好きになんか、なってやらない
 
「理解不能なんですが」
「すげー寝起き」
「……」


訳の分からないまま、オートロックのボタンを解除してしまい、
部屋の中には岬凌太。


いったいなぜ、岬さんが私の部屋にいるんだろうか……。


「どうして家知ってるんですか」
「あー、真央ちゃんに聞いた」
「え……」


真央のやつ……。

一瞬にして、頭の中で真央を恨む。


なんだかんだいって、真央は私と岬さんがうまくいくことを応援している。
まったくもって迷惑な話だけど。

多分今回だって、その応援からか、それか柿本さんネタで丸め込まれたんだろう……。


「何しに来たんですか?」
「だから確認だって。電話で話さなかった?」
「なんの確認ですか」
「ちゃんと家にいるか、ってこと。
 ………昨日、あいつと会ったんだろ?」
「え?」


あいつ、と言われて、ハテナマークが頭に浮かんだ。


あいつあいつあいつ……

ああ……



「陽平のことですか」



その名前を出した瞬間、ピクリと岬さんの眉が動いた。
 
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