好きになんか、なってやらない
 
「え、ちょっと、どこ行くの!?」


黙ってしまった凌太は、私の腕を引っ張ってズカズカと歩き出した。


怒らせた?
でも怒るようなこと?


凌太は無言のままで、駆け足になってしまいそうなほどの早歩きで私を引っ張っていく。


頭にハテナマークばかりが浮かんで
前と凌太を交互に見ながら、ただ歩かされていた。



「ねえ、ほんとどこに連れてくつもり?」
「俺んち」
「え?」



「お前、覚悟しとけよ。
 俺をおちょくった罰」



悪魔のしっぽが見えそうなほどの、意地悪な微笑み。

まったく意味が分からなかったその言葉に
だんだんと状況を察していく。


「……帰る」
「帰らせない」
「いや、無理だから」
「大丈夫。明日休みだし」


冷や汗をじんわりとかきながら、私の抵抗は虚しくズルズルと引っ張られていき……







「さーて、玲奈ちゃん。
 心の準備はできたかな?」

「変態!痴漢!鬼……っ」



私の言葉はそこまで。

プライドの高い彼をいじめるのは、ほどほどにと、今日学ぶ。



「まだ休ませねぇよ」

「も……む、りぃっ……」



ああ、やっぱこんな男……

好きになんか、なってやらなければよかった。





          ~fin.~
 
< 301 / 301 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:244

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

ワケあり!?社内恋愛
  • 書籍化作品
[原題]甘いSecond Lover

総文字数/66,583

恋愛(オフィスラブ)212ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
「俺、好きなやついるんだ……」 「知ってます。それでもいい……  あたしのこと、利用ください」 たとえ寂しさでも、あたしの手をとってくれたあの日…… そこから、あたしの全ては貴方になった。 「キスはダメ」 だけど貴方の一番は別の人。 「じゃあ、俺のこと利用して」 あたしと同じ立場で現れた彼。 「……別れたって……」 「え……?」 「だから行ってきてください」 「……ごめんっ!!」 いつもあたしは貴方の2番目。 「いい加減俺を見てよ」 1番に想ってくれる彼は、あたしの2番目。 恋の矢印は どこをねじまげればみんな幸せになれるのだろうか―――。   
甘いペットは男と化す

総文字数/150,886

恋愛(純愛)347ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
  あの日…… 真っ白で 無垢な 綺麗な拾い物をした。 「しばらく、ここに住ませて」 そんなのできるわけない!! だけど気づけば 「こら!ベッドに入ってきちゃダメでしょ!?」 「だってソファー、寒いんだもん」 すっかり懐いてしまった一人の男の子。 「覚悟して。  いつもは抑えているだけだから」 見え隠れする、ペットの裏の男の顔。 「抱きしめたい」 「キスしたい」 「好き」 甘い言葉を吐く、危険なペットはあたしの手じゃ負えない! なのに…… 「ごめんね。それ、本気じゃないから」 記憶を取り戻した彼は 全くの別人だった。  
この恋を叶えてはいけない

総文字数/109,019

恋愛(純愛)326ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
あの日 燃えるような夜を過ごした。 初めて会ったはずなのに あたしたちはお互いを求めた。 もう会うことはない、と… ひと夏の思い出…… と心の隅に追いやった夏の終わり、 あたしたちは 信じたくない関係で再会をした。 たとえどんなに惹かれあっても 叶えてはいけない。 あたしは今日 最愛の人の目の前で 二番目に好きな人と結婚をする。

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop