Le Petit Princesse
二人は退屈になり、また中庭に出ていた。







「暇だよフローラー…」




そう言ってエリックは中庭の芝生に寝転んだ。





「何もする事だってないし…」






そう言ってエリックはまた寝返りを打った。



フローラの方はと言うと、周りに植えてあるバラの花を見ていた。








「本当、綺麗な中庭ね…。」


「ルドルフ様が大事な娘さんのために作った中庭ですからね。」


「え?」





フローラは振り返ると、さっき船から降りて来たグレーの瞳の王子がいた。





「自己紹介がまだでしたね。僕はアルフォンス王国の…」


「ブライ…ブライオン王子!でしたっけ…?さっき船から降りてきた…」



「…ブライアンです。以後、御見知り置きを。」


「あ、あぁはい。ごめんなさい…」


「いえ。やはり船を降りる時に目が合ったのは気のせいではなかったようですね!」


「え?あ、あぁ…。」


「あなたはこの国の姫様なのですよね?」


「えっ!そんな、姫って!」





フローラは全く身に覚えがなかった。





「私なんかがそんな身分…ないですよ!」



「そうなのですか…でもまぁこれも何かのご縁。今夜パーティーが開かれます。僕も出席させてもらうのですが、あなたも一緒にどうですか?」


「パーティー?」


「きっとルドルフ様からお話があると思います。その時はまた。」


「は、はぁ…。」





フローラが腑抜けた返事をすると、ブライアンは軽く一礼し、中庭を後にした。
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