SEL FISH

ノートを開いて、今までの分をパラパラと捲る。光井くん、仕事全くしてない。

表紙の裏に手作りポケットが出来ていて、そこにレシートがつっこまれている。既にお金が動いているらしい。

てゆーか、あたしがこれやって良いのかな。光井くんが会計の集まりみたいなのに行ってるし、クラスにどれだけ貰えるというのが分かる気がする。

「何で祈璃が会計ノート持ってんの?」

「あ、アキ。会計ってあたしがやって良いの?」

委員会から帰ってきたアキが会計ノートを覗く。んー、と唸りながらページを捲った。

窓から風が入る。湿気を含むその匂いが、アキの黒髪を少しだけ揺らした。



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