SEL FISH

ふふ、と笑って膝の上に両肘をつけて頬杖をするいのりちゃん。

「えー、つまんない」

「受験生なのにゲーセン来るなんて余裕だね」

こちらを振り向いて言った。
いのりちゃんに対する皮肉がこっちにも飛んできた。これぞとばっちりだ。

「藤沢さんも一緒に遊びたいなら言えば良いのにー」

「帰って勉強するよ」

立ち上がって階段を上がっていく藤沢さん。

「ばいばい」とすれ違い様に言われたので、笑顔を作った。
二段高い所にいた彼が呼び止める。

「ちゃんと高校来なよ」

振り向いた藤沢さんの顔を見て、祈璃ちゃんの方を向いた。



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