EGOISTIC憎愛デジャ・ビュ
照れたようにコホンと咳ばらい。
「先程、早苗に習ってな。作ってみた。料理というのか…。初めての経験だ」
なるほど。
さっき早苗と話し込んでいたのはこのホットケーキを作るためだったのか。
納得してから月那は別のことで首を傾げた。
「ひょうがさま…わたしのこと、きらいになったんじゃないんですか?」
「はあ!?お前、なぜそう思っ――そうだ…。俺が無視したせいだったな。チッ、千夜の奴。逆効果じゃないか」
「せんやさま?」
「千夜のことは気にするな。というか、俺は一言も月那を嫌いとは言っていないはずだが」
「だって…ひょうがさま、わたしのことだけムシ、して……ふえ…」
思い出して悲しくなったのか、涙をポロリとこぼす。
そんな月那を嬉しそうに見つめて氷河は腕を広げた。
「おいで、月那」
抱きしめてやろう。
氷河の瞳がそう囁く。
「ひょうがさまぁ…!」
余程恋しかったのか、月那は珍しく素直に飛びついた。
氷河にギュッと抱きしめられ、安堵する。
「ああ……心地好いな」
月那が自分から抱き着いてきた。
月那に求められることで彼の支配欲は満たされる。
他のペットでは、こうはいかないのだ。