EGOISTIC憎愛デジャ・ビュ
月那も闇市場から氷河の父親に救い出された一人。
一応、使用人という名目で買われたが、五歳ゆえに氷河と千夜の愛玩ペットとなっている。
「俺は月那に嫌われているのか?」
「んなわけないから。月那はアニキのこと大好きだもんなー」
「嘘をつくな千夜」
「ホントだって!照れまくってるだけでさ、口を開けばアニキの話ばっか…イデデデデッ!!!!」
月那が千夜の腹をつねった。
どうやら氷河に知られたくない話だったようだ。
「せんやさまのバカァ…」
「あ~…はいはい…。オレが悪かったよ。だから泣くな。な?」
「う~…」
月那をあやしながら頭を撫でる千夜。
その光景を氷河が面白くなさそうに眺める。
やはり千夜にばかり心を許しているように思えて腹立たしい。
(何が“俺のこと大好き”だ。俺には話し掛けもしないくせに)
人間は嫌いではない。
ペットは可愛い。
月那とも仲良くしたい。
それなのに自分だけ避けられている現状が氷河は気にくわなかった。