孤独女と王子様
各店舗に私と同じような立場の社員はいたものの、やはり打ち合わせやイベント本番で時間を取られてしまうことが苦しい状況だった。

私の場合は本店におり、人員に若干の余裕がある。

しかしそれ以外の店舗は、イベントがあるごとに人員のやりくりにかなり苦労しているとの声が上がっていた。

そこで、現場の負担を減らそうと専任のイベント担当を設けて各出版社との打ち合わせや当日の仕切りを任せ、店舗の社員はあくまでジャンル担当として業務に集中させようと言うのが今回の異動の狙いらしい。

「そのイベント担当の専任が、なぜ私なんでしょう」

別に、他の店舗のイベント担当兼任者がやったっていいわけだし。
しかも私より先輩だろうし。

『本部長が神戸さんを指名したんだよ。神戸さんのここ1年における頑張りが認められた結果だ。とは言っても、店舗に立てなくなるのは本意ではないと思うけど、うちの書店のために、頑張ってくれないだろうか』
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