孤独女と王子様
『成瀬川家の御曹司様が、普通のOLとお付き合いですか?』
「何か問題でも?」
『お家柄とか、きちんとお調べになりましたか?』

その言い方に、少し棘を感じた。

『私は、私の力で成瀬川さんの心を手に入れようかと思ったのに、邪魔者がいるのね』

今まではプランナーとして僕に猫を被っていたわけか。
で、僕に彼女がいることが分かると、本性が見えてきた。

『私には、チャンスを1度足りとも与えて貰えないのですね』

僕は、こういう女性には少しでも隙を見せてはいけないことくらい分かっている。

「僕の気持ちは完全に無視なんですね。先程から聞いていると、自分のことばかりじゃありませんか。それに、少しでも長く彼女と一緒にいたいですし、彼女を悲しませることはしたくありません」

僕は、書類を見つめた。
それは明日、僕が担当する挙式披露宴のタイムテーブルだった。

「それに、あなたは担当したカップルの何を見ながら今までプランナーをおやりになられていたのですか?相手を思いやるホスピタリティの精神を持ってお仕事されていますか?僕に対して出来ていないのに、お客様に出来るはずがありません。少し、お考えになってはいかがでしょうか、仕事に対するビジョンを」
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