孤独女と王子様
★僕の独占欲~side GOU~
『剛は、神戸さん・・・いや由依ちゃんとはこれからのことを考えているの?』

お皿が片付いたテーブルを拭きながらケン兄さんは僕に聞いてきた。

「もちろん。由依ちゃんしかもう考えられないし」
『へぇ。確かに過去の剛せん・・・剛さんの彼女との付き合い方に比べたら、全然違う印象だよね、さっきから見ていると』
「そう?」

金澤のことは、最近ではふざけて"レナっち"と呼んでいたので、それで通そうかな。
昔、ナルガクの高等部で英語を教わっていたケン兄さんの友達の徳重先生の呼び方に習うとするか。

『私達後輩から見たら"憧れのカップル"に一見見えたけど、今考えると私達周囲がふたりをそう仕立てていたって言うか、煽っていたって言うか・・・実際はそんなに仲良くなかったよね。無理矢理感満載』

レナっちが言うことは、きっとサキコとのことだろう。
指摘通り、来るものを拒まなかっただけで、本当に彼女を好きだったかと言えば、違う。

今、由依ちゃんという女性と出会ったから、はっきりあの時はサキコのことが好きではなかったことが分かる。

あの頃と、由依ちゃんへの感情は、比べるレベルにもない、全く別なものだから。
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