孤独女と王子様
でも、父さんとの約束って、何だろう?
僕も由依ちゃんも不思議な顔をすると、母さんは"もういいよね"と、昔話をしてくれた。

17歳で女優としてデビューした母さんは、ある映画で大きな賞を取り、一躍トップスターとなった。

20歳を過ぎたある時、事務所は母さんの女優としてのイメージをスキャンダラスなものにすべく、若い母さんを誰かと結婚させようと企てた。

しかし、母さんが好きな人は、近所に住む小さい頃から憧れだった、10歳上の父さんだった。

当時、4番目の妻と婚姻関係だった父さんには、母さんの思いを"結婚"という形で受け入れることは出来ない。

所属事務所と押し問答をしている間に、2年の月日が流れた。

当時、成瀬川家は、男子の跡継ぎを欲しがっていた。

長男の亮輔こと、リョウ兄さんは8歳の時に交通事故に巻き込まれ、今は車椅子生活。

次男のケン兄さんは当時の妻との離婚もあって3歳半までは成瀬川家で生活をしておらず、そのため家柄に馴染めていないと父さんは思っていた。
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