孤独女と王子様
『始めは銀行の大株主の娘にゴマを擂る形で結婚させられたけど、後々の後継ぎのことを俺の親父は全く考えておらず、自分が一度病気で倒れたことや、俺の年齢が40を超えたことで、ようやく焦り出した』

"ゴマを擂る"か。
それだけの理由で好き合っている男女が引き裂かれたのであれば、たまったもんじゃないな。

『親父は、由依の存在は知っていた。律子が妊娠中も鍬形家による中絶説得があったくらいだから。でも、そんな自分が引き裂いた女性の娘を今更引き取ろうという行動は、親父のプライドが許さなかったんだ』

舟さんのお父さんは、存命中に何度か会ったことがある。
すごくオーラがあって、いかにも"成功した男"を地でいた人。
政財界では有名人だった。

『"替え玉"を勧めてきたのは、親父本人だった。弥生を表向き母親にすることを条件に、お金を渡してきちんとした家柄の人間を愛人にしろって、無茶な提案』
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